
やっと復職が決まった!
その喜びと同じくらい、もしくはそれ以上に大きな不安が襲ってくることはありませんか?

もしまた体調が悪くなったらどうしよう

職場の人とうまくやれなくて、すぐ辞めることになったら……
うつ病からの復職は、ゴールではなく新たなスタートです。そして正直にお伝えすると、精神障害のある方の職場定着率は、決して高くありません。
「やっぱり自分はダメなんだ」と傷つく未来を避けるために。
今日は、復職後のあなたを支え再発を防ぐための「就労定着支援」という制度について、作業療法士(OT)であり当事者の視点から解説します。
私自身、この制度そのものは利用していませんが、似たような「見守り」に救われている一人です。
「一人で頑張らなくていい」。そのための具体的な方法をお伝えします。
なぜ、うつ病の復職は「すぐ辞める」ことになりやすいのか?


せっかく復職したのに、数ヶ月でまた休職してしまった……
これは、決してあなたの意志が弱いからではありません。データを見ても、その難しさは明らかです。
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、就職から1年後の職場定着率は、身体障害が60.8%であるのに対し、精神障害は49.3%と低い傾向にあります。
つまり、約半分の人が1年以内に離職してしまっているのが現実です。
出典:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構『障害者の就業状況等に関する調査研究(2017)』
なぜ、これほど難しいのでしょうか。作業療法士として多くの患者さんを見てきた経験から、大きな理由は2つあると考えています。
1. 「疲れていること」に気づけない(自己モニタリングの難しさ)
うつ病の回復期や復職直後は、「頑張らなきゃ!」という気が張り詰めています。
そのため、脳のセンサーが誤作動を起こし、「自分が疲れていること」に気づきにくくなっていることが多いのです。
「まだいける」と思って走り続け、気づいた時にはバッテリー切れを起こして動けなくなる。
これが再発の典型的なパターンです。

私自身も、復職してすぐはアドレナリンが出まくっていました。
自己モニタリングが苦手な方は、客観的に自分を見てくれる人が必要です。
2. 環境変化による脳への負担
休職中の静かな生活から、週5日の勤務へ。この環境の変化は、私たちが思っている以上に脳へ凄まじい負荷をかけます。
人間関係、通勤、業務のプレッシャー……。
これらを一人で抱え込み、誰にも相談できないままパンクしてしまうケースが非常に多いのです。
だからこそ、必要なのは「根性」ではなく「第三者の客観的な目(ペースメーカー)」です。
再発防止の命綱!「就労定着支援」とは?

そこで頼ってほしいのが、「就労定着支援」という障害福祉サービスです。
これは簡単に言うと、「就職した後も、あなたが長く働き続けられるように、悩みやトラブルの解決をプロがサポートしてくれる制度」です。
どんな人が使えるの?
就労移行支援、就労継続支援(A型・B型)、自立訓練などを利用して一般就職した方が対象です。
詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
いつからいつまで使えるの?
ここが少しややこしいのですが、以下のような流れになります。
- 就職〜6ヶ月目:「職場定着支援」
- まずは、就職前まで通っていた事業所のスタッフがサポートしてくれます。慣れ親しんだスタッフに相談できる期間です。
- 7ヶ月目〜3年6ヶ月:「就労定着支援」
- ここが今回のメインです。 仕事に慣れてきた頃に出てくる悩みや、長期的なキャリアの不安を、専門の支援員が最長3年間サポートしてくれます。
お金はかかるの?
前年度の世帯所得によりますが、多くの方は無料(0円)で利用しています。
詳しい自己負担額については、お住まいの自治体窓口で確認してみてください。
利用には受給者証や障害者手帳が必要になるケースが多いです。手帳の取得メリットについてはこちらを読んでみてくださいね。
また、「もし働けなくなったら」という金銭的な不安がある方は、障害年金についても知っておくと心が軽くなります。
具体的に何をしてくれるの?(利用するメリット)

「わざわざ支援なんて受けなくても……」と思うかもしれません。
でも、就労定着支援には、家族や友人への相談とは違う「プロならではのメリット」があります。
1. 月1回の面談で「ガス抜き」ができる
月に1回以上、支援員と対面で話す機会があります。
仕事のことはもちろん、生活リズムやお金の管理など、生活全般の悩みを相談できます。
定期的に「ガス抜き」をすることで、爆発する前にストレスを手放すことができます。
2. 会社との「仲介役」になってくれる
これが最大のメリットかもしれません。
「配慮してほしいけど、自分からは言いづらい……」ということ、ありますよね。
そんな時、支援員が間に入って会社側と調整をしてくれます。
「〇〇さんは今こういう状況なので、少し業務量を調整できませんか?」といった専門的なアドバイスをしてくれるので、職場での孤立を防げます。

うつ病を抱える人は、「自分が我慢すればいい」とどうしても無理をしがちですからね!
【体験談】「相談できる人がいる」という安心感
私自身は、現在この制度を利用していませんが、以前通っていた就労継続支援B型事業所のスタッフさんから、今でも月に1回「最近どうですか?」というメールを頂いています。
たった一通のメールです。
実際に悩み相談をすることもあれば、「元気です」と一言返すだけの時もあります。
でも、「私のことを気にかけてくれている人がいる」「何かあったらあそこに相談すればいい」と思えるだけで、心の安定感がまるで違うんです。
もしこれが全く知らない職場や、以前うつ病になった環境と同じ場所で働くとしたら……。
この「命綱」なしで働くのは、あまりに怖いことだと思います。
「実際に相談するかどうか」は別として、「いつでも相談できる場所がある」というお守りを持つこと。それが、長く働くための秘訣だと実感しています。
「面談がめんどくさい」?それでも利用をおすすめする理由

中には「月1回も面談に行くのは面倒くさい」「調子がいい時は必要ない」と感じる人もいるかもしれません。
でも、OTの視点から言わせていただくと、「調子がいい時こそ」会う必要があります。
うつ病の再発サインは、自分では気づきにくいもの。
第三者は、そんな小さな変化に気づいてくれます。
3年後に完全に一人立ちするための「補助輪」だと思って、使い倒してみてください。
自分の心を守るために、使えるものは全部使おう
「すぐ辞めることになったらどうしよう」と不安になるのは、あなたが真剣に仕事に向き合おうとしている証拠です。
でも、その不安を一人で抱え込む必要はありません。就労定着支援は、あなたの「働きたい」という気持ちを守るための権利です。
利用するには、現在通っている事業所や、お住まいの自治体の障害福祉窓口に「就労定着支援を利用したい」と相談してみてください。
再発を防ぎ、あなたがあなたらしく働き続けられることを、心から応援しています。

私も復職に対しての不安が強かったです。
体験談を記事にしているので、読んでみてくださいね。








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