
何もやる気が出ないし、体力も気力もわかない…
うつ病で休職中の私は、毎日そんな悩みを抱えていました。焦りばかりが募り、「このまま社会復帰なんてできるのかな?」と不安でいっぱいでした。
そんな私が一歩踏み出したのが、就労継続支援B型事業所です。
B型作業所と聞くと、「工賃が低い」「単純作業ばかり」といったイメージを持つ方もいるかもしれません。
実際、本来B型作業所は継続的な就労が前提とされています。しかし、私の場合、ここを「リハビリの場」として利用しました。
傷病手当や失業保険を受け取りながら通所し、体力と生活リズムを少しずつ取り戻していったのです(傷病手当を受け取りながら働けるかどうかは、自治体によって判断が異なります)。
この記事では、精神疾患の当事者であり現役の作業療法士である私が、以下の内容を詳しく解説します。
「働くこと」に不安を感じているあなたの、次の一歩を考えるヒントになれば嬉しいです。
1. B型作業所を利用し始めたきっかけ:体力回復と生活リズムの立て直し

うつ病で休職してしばらく経った頃、私は体力の大幅な低下に直面していました。
昼夜逆転に近い生活を送る中で、「このままではいけない」という強い危機感がありました。しかし、すぐに一般企業で働くほどの気力も体力もありません。
そんな時、「まずは生活リズムを整え、少しずつ体力と自信を取り戻したい」という目的で、B型作業所の利用を検討し始めました。
正直、B型作業所は「継続的な利用」が前提であり、リハビリ目的で短期間通うことは一般的ではありません。
それでも、主治医や相談員の方と相談し、「今の私に必要なのは、規則正しい生活と、無理なく続けられる活動だ」という結論に至り、利用を決意しました。
私は傷病手当や失業保険を受給しながら通所していました。
自治体によって判断が異なる場合があるので、もし同じような状況であれば、事前に地域の福祉窓口やハローワークに確認することをおすすめします。
2. B型作業所の利用までの流れ【5ステップで解説】

B型作業所の利用は、初めてだと少し複雑に感じるかもしれません。でも、サポートを受けながら申請できるので安心してください。
私が体験した流れを交えながら、5つのステップで解説します。今回は「就労継続ナビ」を参考にしています。
ステップ1:主治医に相談し、許可をもらう
まずは、現在通院している主治医にB型作業所の利用を考えていることを伝え、許可をもらいます。
この時、どんな作業所が自分に合っているか、アドバイスをもらうのも良いでしょう。
ステップ2:利用したい事業所を探す
ここが最も重要なステップです。お住まいの地域の事業所をインターネットや市役所の福祉窓口、ハローワークなどで探します。
事業所選びのポイント
【私の体験談】
私が通ったのは、全国でも数少ないパソコン作業中心のIT系作業所でした。ライティングやデータ入力といった業務で、非常に静かで集中しやすい環境だったのが特徴です。
体調が優れない時にゆっくり休める和室やベッドのある部屋もあり、細やかな配慮がされていると感じました。
ステップ3:「障害福祉サービス受給者証」を申請する
利用したい事業所が見つかったら、お住まいの自治体の障害福祉窓口へ行き、「障害福祉サービス受給者証」を申請します。これは、福祉サービスを利用するために必要な「許可証」のようなものです。
申請時には、障害者手帳(持っていれば)、本人確認書類、自立支援医療の受給者証(利用していれば)、お薬手帳、印鑑などが必要になります。
窓口の職員さんとの面談で、現在の体調や利用への意欲などを伝えます。

窓口の方もゆっくり話を聞いてくれるので、自分のことを素直に伝えましょう。
自分の体調や希望をメモに書いて持っていくのも、よい方法です!
ステップ4:「サービス等利用計画案」を作成する
受給者証の申請後、「サービス等利用計画案」の作成が必要です。
これは、あなたがB型作業所の利用を通して「どのような課題を解決したいか」「どんな目標に向かいたいか」を明確にするための計画書です。
多くの場合は相談支援専門員という、障がいのある人が自立した生活を送るための相談支援を行う専門家が作成をサポートしてくれます。事業所や市役所から紹介してもらうのがスムーズです。

私の場合は自分で作成しました。
役所の方が手伝ってくれたので、スムーズにできましたよ!
ステップ5:事業所と契約して利用開始
障害福祉サービス受給者証が発行されたら、いよいよB型作業所と正式に契約を結び、利用を開始できます。
3. 私が通ったB型作業所は「ちょっと特殊」なIT系

私が利用していたB型作業所は、全国でも珍しいパソコンを使ったIT系の業務が中心でした。主に記事のライティングやデータ入力作業を行います。
実際の作業内容と1日の流れ
私が通っていたのは週に2〜3日、1日4時間ほどのデスクワークでした。
作業中はとても静かで、各自がパソコンに向かい集中して作業を進めます。分からないことがあれば、チャットで質問したり、職員さんを呼んで相談したりするスタイルでした。
休憩時間には、全体休憩が設けられていたり、週に1回程度お菓子会やボードゲームなどのレクリエーションがあったりして、他の利用者さんとの交流の機会も設けられていました。
昼食は各自で用意し、休憩室や自席で取ります。
職員さんの手厚いサポート
職員さんは皆さんとても優しく、体調が優れず休みが続いても、見守り、配慮してくれました。
「無理なく、自分のペースで」という働き方を尊重してくれる安心感は、精神疾患を抱える私にとって非常に大きかったです。
外部の人とのやり取りは全て職員さんが行ってくれるため、その面でのストレスもありませんでした。
4. B型作業所の「工賃」のリアル:手取りは少ないけれど、得られた価値

B型作業所で受け取る報酬は「工賃」と呼ばれ、雇用契約を結ばないため、最低賃金の適用はありません。
実際の工賃と手取りの少なさ
私が通っていた作業所では、時給500円のライティングコースと、時給200円のデータ入力コースがありました。B型としては時給500円は比較的高い方だと感じます。
私は週2〜3日ライティングコースで働いていましたが、それでも月額の手取りは非常に少なかったです。
なぜなら、利用料が別途発生し、それが収入によって変わるからです。私の場合は、手取りがほとんど残らない月もありました。

利用料は、世帯での収入によって変わります。
自治体や作業所によっても変わるので、確認してみてくださいね。
交通費は支給されましたが、昼食は各自で用意する必要がありました。
工賃に対する私の視点と他の利用者の声
正直なところ、私にとって工賃はメインの目的ではありませんでした。一番は「リハビリ」と「生活リズムの立て直し」だったため、手取りが少なくても満足していました。

ちゃんと働いているのに、最低賃金がもらえないのはおかしい!
他の利用者さんからこういった不満の声が上がっているのを聞いたこともあります。確かに、一般的な労働と比較すると、工賃は決して高いとは言えません。
それでも、B型作業所には「手厚い配慮」「非常に休みやすい環境」「作業が分かりやすく細分化されている」「外部とのコミュニケーションが不要」など、工賃の低さを考えてもメリットが非常に大きいと感じていました。
工賃を重視する方は、就労継続支援A型や就労移行支援を検討することをおすすめします。
5. B型作業所を利用して「本当に良かった!」と感じたメリット

B型作業所での経験は、私の心身の回復だけでなく、就職してからも生かされました。
生活リズムの劇的な改善と体力向上
昼夜逆転に近かった生活が、規則正しく日中に起きる生活へと変わりました。
数駅離れた作業所に週2〜3日通い、1日4時間ほどデスクワークをして帰るというルーティンは、体力のない私にとってちょうど良い負荷でした。
最初は作業所に行くだけでぐったりでしたが、徐々に体力がつき、自信にも繋がりました。
自己肯定感の向上と社会との繋がり
「自分でも生産的な作業ができる」という感覚は、何よりの喜びでした。
寝たきりだった私は、夫としか深く関われていませんでした。
しかし、スタッフの方々や、同じ境遇を持つ仲の良い利用者さんもでき、社会との繋がりを感じられるようになりました。
作業療法士としても、「活動を通して自己肯定感を上げる」という点で、B型作業所の利用は良いチャレンジだと感じています。
新たなスキル習得とキャリアへの影響
B型作業所で身につけたライティングスキルは、現在も私の副業として継続しています。
もしあの時B型作業所に通っていなければ、今の私はなかったかもしれません。思わぬ形で新たな可能性が広がることもあります。
6. 利用して「大変だった」点、デメリットと乗り越え方

B型作業所はメリットばかりではありません。共同生活の場である以上、課題もありました。
人間関係の難しさ
私が通っていた作業所では、発達障害など他の障害がある方も利用していました。
状態が不安定な時に大声をあげてしまうこともあり、過去に大声にトラウマがあった私は、心臓が痛くなることも。
また、工賃に対する不満を、作業中に大声で職員さんにぶつける利用者さんもいました。
どうしても精神や発達に特性のある方が集まる場所なので、そういったトラブルは起こりえます。
しかし、職員さんたちはそうした状況に慣れており、すぐに他の場所に誘導したり、落ち着かせたりと、大きな問題には発展しないよう対応してくれていました。
私自身は、そうした時は休憩室に移動したり、イヤホンをつけたりして、自分を守ることを意識していました。
7. B型作業所だけじゃない!就労支援サービスの種類と選び方

障がいのある方の就労を支援するサービスは、B型作業所だけではありません。
あなたの目的や状況に合わせて、さまざまな選択肢があります。
就労継続支援A型・B型
就労継続支援は、一般企業で働くことが困難な方に「働く場」を提供する福祉サービスです。
A型とB型で特徴が異なります。
A型作業所について詳しく知りたい方はこちら!
就労移行支援
就労移行支援は、一般企業への就職を目指す方が、「就職に必要な知識やスキルを身につけるための訓練」を受ける場所です。
就労移行支援について詳しく知りたい方はこちら!
【私の視点からのアドバイス】
私がA型作業所を選ばなかったのは、当時体力的に週3日・1日の勤務時間が長く、体力的に難しいと判断したためです。
工賃や「給料」を重視する方は、A型作業所や就労移行支援からの一般就労を目指す方が良いでしょう。
また、これらのサービスを利用して一般企業に就職した後には、「就労定着支援」というサービスもあり、最長3年間、長く働き続けるためのサポートを受けることができます。
8. B型作業所の利用を考えているあなたへ:私のメッセージとアドバイス

私の経験から、B型作業所は以下のような方に特におすすめできると感じています。
B型作業所が向いている人
B型作業所の選び方
一番のポイントは「自分がやりたい作業」を見つけることです。
パン作り、小物作り、農作業、IT作業など、事業所によって活動内容は大きく異なります。
見学や体験に積極的に参加し、「ここでなら無理なく続けられそうか」「作業内容に興味が持てるか」を肌で感じることが、後悔のない選択に繋がります。
最後に
B型作業所は、単なる「働く場所」というだけでなく、精神疾患を抱える私にとって、心と体の回復への大切なステップであり、自己肯定感も得られた素晴らしい場所でした。
もし今、働くことに不安を感じているなら、焦る必要はありません。まずはご自身のペースで、一歩踏み出してみることを応援しています。
あなたの新しい一歩が、より良い未来へと繋がることを心から願っています。
精神疾患を抱えている人が頼れる制度一覧をまとめた記事もあります。









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