うつ病で休職中、傷病手当金がもうすぐ終わる…。次の収入源はどうしよう？
失業保険って、うつ病でももらえるの？
でも、『働く意思と能力』って言われても、正直自信がない…
もしあなたが今、うつ病での失業保険の受給に不安や疑問を感じているなら、かつての私と同じ気持ちかもしれません。
私自身、傷病手当金の期間満了後、失業保険へと移行する際に、数え切れないほどの不安と葛藤がありました。
この記事では、うつ病当事者として実際に傷病手当金から失業保険へ移行した私のリアルな体験談を詳細に語ります。
そして、作業療法士としての視点から、以下のような疑問や不安を解消する情報をお届けします。
失業保険が、あなたの心を縛る「プレッシャー」ではなく、「次のステップへ安心して進むための大切な準備期間」になり得ることを、私の経験を通じてお伝えできれば幸いです。
1. 「傷病手当金終了…次どうしよう？」うつ病の私が失業保険を検討するまで【体験談】
傷病手当金の受給期間が終了し、私を襲ったのは、次の収入源に対する漠然とした不安でした。
うつ病で先の見通しが立たない中、「このまま無収入になったらどうしよう」という焦りが、日々の心身の負担に拍車をかけていたのです。
当時はB型作業所に通っていましたが、収入は期待できませんでした…
そんな中で私が検討したのが「失業保険」でした。
当時はまだ回復の途上。「働ける状態なのか？」という葛藤があり、正直なところ「自分には無理なのでは…」という気持ちも強くありました。
でも、経済的な不安を解消するためには、何かしらの行動が必要でした。
なぜ、他の選択肢（障害年金や生活保護など）ではなく失業保険を選んだのかというと、やはり「また働きたい」という気持ちがあったからです。
時間はかかっても、自分に合った働き方を見つけ、社会と繋がりを持ちたいという思いが、私を失業保険の検討へと動かしました。
2. うつ病でも受給できる？失業保険（基本手当）の基本知識と「働く意思と能力」の壁
失業保険（正式名称：雇用保険の基本手当）は、仕事を退職した人が、再就職までの期間の生活費を支援するための制度です。うつ病で会社を辞めた場合でも、条件を満たせば受給できます。
2-1. 失業保険の基本：受給条件と離職者区分
失業保険は、退職すれば誰でも受け取れるわけではありません。主に以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 「失業の状態」であること
- 「働く意思と能力があり、積極的に転職活動をしているにも関わらず、仕事に就けていない状態」を指します。
- うつ病の場合、重度の症状で就労が困難な状態や、治療に専念するため求職活動を行わない場合は、失業保険の対象外となります。
しかし、体調に配慮した働き方（例：短時間勤務、特定の業務）を希望し、求職活動ができる状態であれば受給対象となり得ます。
- 一定以上の「被保険者期間」があること:
- 離職日以前に雇用保険に加入していた期間です。この期間は、退職理由によって異なります。
うつ病が原因で退職した場合は、一般の自己都合退職とは異なり、以下のいずれかの区分に該当し、受給条件や期間で優遇措置を受けられる可能性が高いです。
障害者手帳の有無は問われません！
特定理由離職者
うつ病の発症など、「正当な理由」に当てはまる自己都合退職の場合に該当します。うつ病の発症など、「正当な理由」に当てはまる自己都合退職の場合に該当します。
特定理由離職者に認定されると、以下のような優遇措置を受けられます。
- 失業手当の受給要件緩和
特定理由離職者は、一般離職者よりも失業手当の受給要件が緩和され、離職日以前1年間に通算6か月以上の被保険者期間があれば受給可能です。 - 失業保険の長期受給
離職日が特定の期間に該当する雇い止めによる特定理由離職者は、失業保険を最大330日まで受給できる場合があります。 - 給付制限期間の免除
特定理由離職者には給付制限期間がなく、7日間の待期期間後に失業手当が比較的早く振り込まれます。 - 健康保険料・住民税の軽減
雇い止めによる特定理由離職者として認定されると、国民健康保険料や住民税の減免を受けられることがあります（申請が必要で、市区町村によって軽減率が異なります）。
就職困難者
身体障害、精神障害などの障害により、就職が著しく困難であると判断された場合に該当します。
就職困難者に認定されると、以下のような優遇措置を受けられます。
- 失業給付日数の延長
就職困難者に認定されると、失業給付を受け取れる日数が一般の離職者よりも大幅に延長され、生活の安定が図られます。 - 求職活動回数の軽減
就職困難者は、失業給付受給に必要な求職活動の回数が軽減され、身体的・精神的な負担が減ります。 - 常用就職支度手当の受給
就職困難者で45歳以上の方が安定した職業に就いた場合、ハローワークなどの紹介で常用就職支度手当が支給され、長期的な雇用安定が支援されます。
私もこの2つに該当し、優遇措置を受けられました！
求職活動は月に1回、受給期間は300日でした！
2-2. 失業保険の受給期間と金額
- 受給期間
- 一般の離職者（自己都合退職）は90日～150日程度が一般的です。
- 特定理由離職者や就職困難者の場合、より長期間受給できる可能性があります。
- 受給金額
- 離職前の給与（賃金日額）と年齢に応じて、給与のおよそ50%～80%程度が支給されます。給与が低いほど給付率は高くなる傾向があります。
- 日額の上限も設定されているため、高額な給与を得ていた場合でも、上限を超えた分は受け取れません。
具体的な計算方法は複雑なので、ハローワークで相談するのが一番確実です。
2-3. 【体験談】「働く意思と能力」を主治医とすり合わせるコツ
うつ病で「働く意思と能力」がある、と判断されるのは、非常にデリケートな問題です。私も、この言葉を聞いた時に「本当に自分は働けるのだろうか」という不安に苛まれました。
そこで重要になるのが、主治医との密な連携です。
私は、主治医に「失業保険の受給を考えていること」と、「失業保険には『働く意思と能力』が必要なこと」を正直に伝えました。
その際、「フルタイムは難しいけれど、短時間なら」「特定の業務内容であれば」など、今の自分の体調と能力で「できること」と「できないこと」を具体的に伝えました。
今の状態だとまだ無理はできないけれど、週〇日、〇時間程度なら就労可能だね
主治医も私の状況をよく理解してくれていたので、このようにハローワークに提出する「診断書」に記載してくれました。この診断書が、「働く意思と能力がある」ことを証明する上で非常に大きな力になります。
医師が「就労可」と判断しても、それは「完治」を意味するわけではありません。
あくまで「無理のない範囲で、社会参加に向けてステップを踏める状態」と捉えましょう。
3. うつ病の私が手続きを「無理なく」乗り切る方法
失業保険の手続きで避けて通れないのが、ハローワークです。人ごみや手続きの複雑さに、うつ病の体調では大きな負担を感じるかもしれません。
ここでは失業保険の手続きの流れと、うつ病があっても手続きを無理なく乗り切る方法を解説します。
3-1. 失業保険の手続きの流れ
- 病院を受診し診断を受ける
退職理由がうつ病の場合、医師の診断書が必須となるため、事前に相談しておきましょう。 - 会社で退職手続きを行う
離職票を受け取る必要があります。私の場合は郵送で送ってもらいました。 - ハローワークで手続きを行う
離職票、診断書、マイナンバーカード、写真、預金通帳などを持参し、窓口で受給資格の決定を受けます。 - 雇用保険受給者初回説明会への出席
受給資格決定後、指定された説明会に参加し、「雇用保険受給資格者証」などを受け取ります。 - 「失業の認定」を受ける
原則4週間に一度、ハローワークに出向き、求職活動の実績を報告します。
3-2. うつ病でも安心！「就職困難者」認定で求職活動も月1回に免除
私は「就職困難者」に認定されたことで、求職活動の条件が大きく緩和されました。
私の場合は、4週間に1回障害者窓口で就職の相談をしてから「失業の認定」を受けるという流れでした。
「すぐに就職しろ」と言われてしまわないか心配でしたが、全くそんなことはありませんでした。
体調を見ながら、焦らず仕事を探しましょうね！
障害者窓口の方は皆さんとても優しいので、安心して相談しましょう！
3-3. 【体験談】ハローワークは「待ち時間」が苦痛だった。私の工夫
初めてハローワークに行った時の正直な気持ちは、「不安」と「緊張」でした。
そして何より、長い待ち時間が非常に苦痛でした。 体調が良くない時には、待っているだけでも消耗してしまい、それだけで心が折れそうになることもありました。
そこで私が実践したのは、「空いている時間を狙っていく」ことでした。ハローワークの混雑状況は時間帯や曜日によって大きく変わるので、少しでも空いている時間帯を狙って訪問しました。
私が通っていたハローワークでは、特に障害者の窓口が混みやすい傾向がありました。 待合室も狭く、体調が不安定な時にはつらい環境でした。
もし可能であれば、混雑状況を事前に確認したり、必要であれば家族や支援者と同行したりすることも検討しましょう。
3-4.失業保険受給中の「求職活動」を無理なく進めるコツ
失業保険を受給するためには、原則として「求職活動」が必要です。うつ病がある方は、以下のことに気をつけながら求職活動をしましょう。
私は障害者雇用枠で介護施設のパート勤務や、A型作業所での勤務を検討していました。
3-5. 【体験談】B型作業所や短時間パートでも失業保険は受給できる？
失業保険を受給しながら、少しずつ社会との繋がりを持ちたいと考える方もいるでしょう。
ハローワークで相談したところ、私の場合は以下の形で失業保険を受給しながら活動できました。
私の場合は、求職中に知人からデイサービスでのパート勤務を勧められ、週2日勤務しながら失業保険を受け取っていました。
「開所したばかりで利用者さんが少なく、週2日しか働けなかった」という事情もありましたが、リハビリしながら失業保険をもらえたので、とても助かりました。
これらの判断は、ハローワークや個別の状況によって異なる可能性があるため、必ずご自身の管轄のハローワークで相談してください。
4. 失業保険期間のその先へ：次のステップへの選択肢と心の準備
失業保険の期間が終了した後も、生活は続きます。
具体的な選択肢を知ることで、漠然とした不安を減らし、次の一歩へ安心して進むための準備ができます。
精神疾患を抱えている人が頼れる制度一覧をまとめた記事もあります。
さいごに：あなたは一人じゃない。頼れる制度は活用しよう
うつ病での休職から失業保険への移行は、多くの不安が伴う道のりです。
しかし、失業保険はあなたの生活を支え、回復しながら次の一歩を踏み出すための大切な制度です。
この記事が、あなたが失業保険について知り、不安を乗り越え、あなた自身のペースで回復と次のステップへと進むためのヒントとなれば幸いです。
一人で抱え込まず、制度や周りの人に頼る勇気を持つことが、きっとあなたの力になります。
精神疾患の方が利用できる経済的支援制度を5つまとめた記事もありますので、参考にしてみてくださいね！
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