こんにちは、作業療法士で元うつ病当事者のおりをりおです。
突然ですが、みなさんは「就労選択支援(しゅうろうせんたくしえん)」という新しい制度をご存知ですか?
これから福祉サービスを利用しようと考えている方や、ご家族の方の中には、そんな戸惑いを感じている方も多いのではないでしょうか。
実はこの制度、2025年10月から始まったばかりの新しい仕組み。まだ情報が少なく、分かりにくいのが現状です。
私はこの制度を体験していませんが、作業療法士(OT)の視点で見ると、これは「働くための『進路相談室』」のようなものだと感じています。
面倒くさそうに見えるかもしれませんが、上手に使えば「自分に合わない職場を選んでしまって、すぐに辞めてしまう」というミスマッチを防ぐ、最強のツールになる可能性を秘めているんです。
今回は、元B型事業所利用者であり現役OTでもある私が、新制度「就労選択支援」のメリット・デメリットを、どこよりもわかりやすくブログで解説します。
そもそも「就労選択支援」とは?(超わかりやすく解説)

就労選択支援とは、一言でいうと「いきなり働く場所を決める前に、『自分に何が向いているか』を専門家と一緒に知るための『お試し期間』」です。
これまでは、障害福祉サービスを使いたいと思ったら、「就労移行支援に行こうかな」「B型事業所にしようかな」といきなり行き先を決めて、そこへ通い始めるのが一般的でした。
しかし、新制度ではその前に「本当にその場所で大丈夫?まずはあなたの得意・不得意を整理してみない?」と、進路を決めるための準備期間が設けられることになったのです。
どんなことをするの?
原則1ヶ月間(最長2ヶ月)という短期間で、事業所に通いながら以下のようなことを行います。

つまり、訓練をする場所ではなく、「自分の現在地を知るための検査場所」というイメージです!
「就労移行支援」や「就労継続支援(A型・B型)」との違い

ここが一番ややこしいポイントですよね。
「就労選択支援」と、既存のサービス(就労移行支援・A型・B型)は、役割が全く違います。
わかりやすく、学校や病院に例えて比較表を作ってみました。
【比較表】就労選択支援と他サービスの違い
文字だけで説明されても、「名前が似すぎていて分からない!」となってしまいますよね。
そこで、それぞれのサービスの違いを「役割」と「期間」で整理して図解してみました。

このようにイメージすると分かりやすいです。
- 就労選択支援(新制度)
いわば「進路相談室」。働く場所を決める前に、「自分の得意・苦手」を1ヶ月ほどかけて検査・分析する場所です。 - 就労移行支
就職するための「予備校」。一般就労を目指して、ビジネスマナーやスキルを学ぶための「訓練の場所」です。 - 就労継続支援(A型・B型)
働くための「実践の場」。サポートを受けながら実際に仕事をする、「職場」に近いイメージです。
これまでは「検査(選択支援)」なしで、いきなり「予備校」や「職場」に飛び込んでいたため、ミスマッチが起きやすかったんですね。
「就労移行支援(予備校)」について、もっと詳しく知りたい方はこちらの記事を参考にしてみてくださいね。
作業療法士から見た「違い」のポイント
私たち作業療法士は、リハビリ(訓練)を始める前に、必ず「評価(検査)」を行います。
骨折した患者さんに、レントゲンも撮らずにいきなり「走る練習をしましょう!」とは言いませんよね。それと同じです。
これまでは、いきなり「訓練(移行支援)」や「実践(A型・B型)」を始めてしまい、後から「やっぱり合わなかった…」となるケースが少なくありませんでした。
新制度の「就労選択支援」は、この「レントゲン撮影(=客観的な評価)」を最初に行うための場所なんです。

専門家が個人の状態を見て「あなたにはこういう場所があっていると考えられるから、実際に体験してみてね」と教えてくれる制度ですね。
ぶっちゃけ「意味ない」?利用するメリット・デメリット


理屈はわかったけど、わざわざ1ヶ月も通うの?意味ないんじゃない?
そう思う方もいるかもしれません。ブログなので、正直なメリットとデメリットをお伝えします。
正直なデメリット(ここが面倒くさい!)
- 就職・利用までの工程が増える
「早くB型に行って工賃が欲しい」「一刻も早く就職したい」と焦っている時期に、「まずは1ヶ月検査です」と言われると、じれったく感じるかもしれません。手間と時間がワンステップ増えるのは事実です。 - 実施している事業所がまだ少ない始まったばかりの制度なので、お住まいの地域によっては、就労選択支援を行っている事業所が見つかりにくい可能性があります。
それでも使うべきメリット
- 「ミスマッチ」による早期離職を防げる
これが最大のメリットです。
「自分の能力を過大評価して、いきなり一般就労して潰れてしまった」
「逆に、もっと能力があるのに、自信がなくてずっとB型に留まってしまった」
こうした不幸なミスマッチを、最初の検査で防ぐことができます。 - 自分の「取扱説明書」が手に入るアセスメントの結果は、客観的なデータです。
いざ就職活動をする時に、「私は疲れやすいです」とただ伝えるより、「専門家の評価で、45分作業したら10分休憩が必要という結果が出ています」と伝える方が、企業側も配慮しやすくなります。これは強力な武器になります。

自分の体調を言葉で伝えるのって難しいですよね。
専門家が客観的かつ具体的に伝えてくれるだけでも、心強いと感じませんか?
元B型利用者の私が思う「こういう人が使うべき!」

私自身、うつ病で休職した後、退職してB型事業所を利用していました。
当時の私は、自信が完全に失われていて、「自分はもう何もできないんじゃないか」という恐怖と、「でも働かなきゃ」という焦りでいっぱいでした。
結果的にB型を選びましたが、それがベストな選択だったのか、当時は自分では分かりませんでした。
もしあの時、この「就労選択支援」があったら、専門家の客観的な視点で「今のあなたにはここが合っているよ」と背中を押してもらえて、もっと安心して次のステップに進めたかもしれないな、と思います。

特にうつ病がある方は、自己モニタリングが苦手な傾向にあります。
自分の体力よりもハードな場所を選んでしまって挫折してしまう方も多いです。
そういったミスマッチを防げるのが、この制度の大きなメリットですね!
ちなみに、私が当時「A型ではなくB型を選んだ理由」については、こちらの記事で書いています。
こんな人におすすめです
急がば回れ。「自分を知る」ことが長く働く近道
新しい制度は、最初は面倒に感じるかもしれません。
でも、「急がば回れ」です。
自分の体調や能力を無視して、焦って就職先や事業所を決めてしまうと、結局すぐに辛くなって辞めてしまうことになりかねません。
「就労選択支援」は、あなたが無理なく長く働き続けるための「羅針盤」を作る大切な期間です。
これから福祉サービスの利用を考えている方は、ぜひお住まいの自治体の窓口や相談支援専門員さんに「就労選択支援って、私の地域でも使えますか?」と聞いてみてくださいね。

無事に就職したあとの「働き続ける」を支えるサービス(就労定着支援)についても解説しています。働くことへの不安が大きい方は、こちらも読んでみてくださいね。







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