
治療はいつまで続くんだろう…

経済的に厳しくなったら、治療を続けられないかも!
うつ病や精神疾患、身体の障害などで長期的な治療が必要になったとき、このような金銭的な不安は、計り知れないものがありますよね。
私自身もうつ病で休職中に、この治療費や生活費の問題に頭を悩ませていました。
そんな私たちの心強い味方となるのが、医療費の自己負担を軽減してくれる「自立支援医療制度」です。私もこの制度に助けられながら、治療を続けています。
しかし、いざ利用を考えたとき、
といった不安が頭をよぎる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなあなたの疑問や不安を解消できるよう、私自身の体験も踏まえながら以下の内容を徹底的に解説していきます。
- そもそも自立支援医療制度とは?
- 【実体験】自立支援医療制度の「デメリット」と知っておくべき注意点6つ
- 自立支援医療制度についてのよくある疑問Q&A
- 自立支援医療制度の申請方法
- その他、精神障害のある方が利用できる支援制度

うつ病の私自身の体験を含めて解説していきます!
この記事を読めば、自立支援医療制度を安心して利用できるようになります。ぜひ最後まで読んで、あなたの不安を少しでも和らげてくださいね。
そもそも自立支援医療とは?

まずは自立支援医療の制度について理解を深めましょう。
自立支援医療は医療費の自己負担を減らしてくれる制度
自立支援医療は、疾患や障害の医療費の自己負担を原則1割に軽減する制度です。医療費は3割負担の方がほとんどなので、適応範囲の治療であれば負担を3分の1に抑えられます。
世帯所得や治療内容によって月ごとの負担上限額も決められています。生活保護を受給している場合、月額の負担上限額は0円となります。世帯所得が大きい方は上限額の設定がありません。
また、高額な治療を長期間必要とする方は「重度かつ継続」と判断され、専用の上限額が適用されます。
以下のグラフは月額医療費のイメージです。医療費の7割は通常通り医療保険から支払われ、1割は患者負担、残りの2割は公費から支払われます。その月の自己負担額上限を超えた分は、公費からの支払いです。
長期間継続しなければならない治療は精神的にも負担がかかりますが、金銭的負担が軽減すると治療に専念しやすくなりますね。
自立支援医療の種類3つ
経済的な負担を軽くしてくれる自立支援医療ですが、年齢や症状によって以下の3つに分かれます。
- 精神通院医療
- 更生医療
- 育成医療
精神通院医療
更生医療
育成医療
自立支援医療制度の「デメリット」と知っておくべき注意点6つ

自立支援医療の最大のメリットは、医療費の自己負担額が減ることです。しかし、気になるのはこの制度を利用した時のデメリットですよね。
ここでは、自立支援医療を利用する際の「デメリット」として挙げられがちな点と、実際に利用している私が感じた注意点を6つ解説します。
①会社や周囲に制度利用がばれる? → 安心してください、原則ばれません
これは多くの方が最も心配する点ではないでしょうか。結論から言うと、自立支援医療を利用しても、会社や周囲の人にばれることはありません。
この制度を利用していることは、保険組合、市町村、医療機関といった関係機関しか把握されません。 制度の利用に関する情報は個人情報であり、本人の同意なしに開示されることはありませんのでご安心ください。
②就職で不利になる? → 制度利用が直接の原因にはなりません
病気や障害自体が就職に影響を及ぼす可能性は、残念ながらゼロではありません。しかし、自立支援医療を利用したことが直接の原因で、就職に不利になることはありません。
個人的には、就職に影響が出る可能性がある病気や障害そのものを、自立支援医療を利用して少ない負担で治療を進めることが何よりも大切だと考えます。
③指定した医療機関でしか利用できない
自立支援医療は、あらかじめ指定した医療機関や薬局でしか利用できません。
私自身もすっかり忘れていて、用事のついでに普段使わない薬局でお願いしようとしてお断りされたことがあります。ちょっと不便に感じるかもしれません。
また、転院の際は手続きをしないと転院先の病院で利用できないので、気を付けましょう。
④適応の疾患の医療でも対象外になる治療がある
精神通院医療の場合、入院医療や公的医療保険が対象にならない治療については、自立支援医療の対象外となります。
私の場合は、半年ほど受けていたカウンセリングが対象外でした。50分で7,000円、2週間に1回受けていたので、月に14,000円の負担は本当に大きかったです…!

受けて本当に良かったけど、高かった…
対象となる疾患の治療は全て適応にしてほしいと思ってしまいますが、こればかりは制度上仕方がないですね。
⑤受診時に毎回書類の提示が必要
指定した医療機関や薬局では、毎回「受給者証」と「自己負担上限額管理表」を提示する必要があります。忘れてしまうと、保険証の自己負担額で支払うことになります。
私も一度忘れてしまい、3割負担で支払った経験があります。次の診察時に提示すると返金してもらえましたが、手間がかかるので忘れないようにしましょう。
受給者証の大きさは自治体によって異なるかもしれませんが、私のものは一般的なお薬手帳と同じくらいのサイズです。荷物が増えてしまうのはちょっと面倒ですね。
⑥1年ごとに更新が必要で、診断書費用もかかる
個人的に大きなデメリットだと感じているのが、1年ごとの更新です。
必要書類をそろえて市町村の窓口にいくだけなのですが、一番負担なのが「診断書」が必要なことです。
診断書って意外とお高いんですよね…。私が診てもらっている病院では1枚3,000円ですが、場所によっては5,000円~10,000円することもあるようです。
「1年に1回くらいならいいじゃないか!」と思われるかもしれません。しかし、病気や障害を抱えると、何かと診断書のお世話になります。私自身も毎年3回くらいは書いてもらっている気がします。

「ちりも積もれば…」で、結構な負担になりますよね…
制度上仕方ないことではありますが、診断書の提出は2年に1回くらいにしてくれると個人的には嬉しいです(笑)
自立支援医療制度についてのよくある疑問Q&A

ここまで自立支援医療制度のデメリットについて解説しましたが、他にも心配な点がある方もいるでしょう。ここからは、よくある質問について解説します。
Q. 社保から国保になるけど制度は継続できる?
保険証の内容に変更があった場合は、手続きが必要になります。国保から社保に変わる際も同様です。
更新すれば制度自体は引き続き利用できるので、安心してください。
Q. 生命保険への影響は?
前述したとおり、自立支援医療を利用していることは周りに知られません。そのため、制度の利用が直接生命保険に影響を与えることはありません。
しかし、病気や障害自体が原因で生命保険に新しく加入できないことはあり得ます。生命保険によっても異なる部分なので、加入を検討する際は各保険会社に確認しましょう。
Q. 将来住宅ローンは借りられる?
こちらも同様の回答になります。自立支援医療を利用していることは周りに知られないため、制度の利用が直接住宅ローンに影響を与えることはありません。
しかし、病気や障害によって「団体信用保険(住宅ローンの契約者が死亡または高度障害になった場合に、住宅ローン残高が保険金で完済される保険)」に入れない可能性があります。そのために、住宅ローンを借りることができないケースも考えられます。
こちらも団体信用保険の種類によって異なるので、金融機関に確認してみてください。
Q. 生活保護と併用できる?
はい、併用できます。生活保護受給者は、自立支援医療での自己負担が0円になります。
Q. 障害者手帳との兼ね合いは?
自立支援医療と障害者手帳は別の制度ですが、関連性があります。

診断書が1枚で済むと数千円お得になりますね!
Q. 障害年金は減額になる?
自立支援医療と障害年金は、それぞれ別の法律(自立支援法と年金法)に基づく制度なので、互いに影響しあうことはありません。
そのため、自立支援医療を受けながら障害年金を利用することも可能です。
自立支援医療制度の申請方法

自立支援医療にはデメリットもありますが、圧倒的に申請するメリットが大きい制度です。ここからは、実際に申請する際について解説します。
前述したとおり、自立支援医療の対象について自己判断するのは難しいです。検討する場合は、必ず医師に確認しましょう。
必要書類
まずは、必要書類を解説します。自治体によって書類が異なる場合もあるので、必ず各自治体の情報を確認してください。
今回、書類については厚生労働省の情報を元に解説します。
自立支援医療支給認定申請書
自立支援医療支給認定申請書は、市町村の窓口に用意されています。申請時にその場で受け取って記入するか、自治体のHPからダウンロードして記入しましょう。
自立支援医療診断書
自立支援医療の診断書は、様式が決まっています。医療機関で用意されていることが多いですが、自治体によっては窓口に取りに行くか、HPからダウンロードしましょう。
「重度かつ継続」と判断された場合は、様式が異なる場合があります。医師に確認しましょう。
所得が確認できる書類
世帯所得が確認できる書類が必要です。課税証明書や非課税証明書、生活保護受給証明書などが利用できます。
健康保険証
健康保険の確認や身分証明として必要になります。
マイナンバーを確認できる書類
申請にはマイナンバーが必要になります。マイナンバーカードや通知カード、マイナンバーの記載がある住民票などを用意しましょう。
印鑑
申請書に捺印が必要なことがあります。
自立支援医療の利用の流れ7ステップ
自立支援医療を利用する際の流れは以下のとおりです。
- 医師に自立支援医療の対象になるか確認する
- 必要書類を用意
- 自立支援医療診断書を医師に記入してもらう
- 市町村の窓口に相談
- 控えを受け取り認定を待つ
- 無事に認定されたら
- 1年に1回更新手続きを
順番に解説していきます。
①医師に自立支援医療の対象になるか確認する
前述したとおり、自立支援医療の対象になるか自己判断するのは難しいです。必ず医師に対象であるか確認しましょう。
そもそも自立支援医療が利用できるのは、「指定自立支援医療機関」に指定されている病院などです。この制度が必要になる方が受診する病院は対象になっていることが多いですが、念のため確認しましょう。
②必要書類を用意
必要書類を揃えましょう。
私の場合は、「自立支援医療診断書」は病院が、「自立支援医療支給認定申請書」は市役所の窓口が用意してくれました。
③自立支援医療診断書を医師に記入してもらう
指定の診断書を医師に記入してもらいます。
項目が複数あるので、私は依頼してから2週間後の受診時に受け取りました。できるだけ早めに依頼しておくのが良いでしょう。
ちなみに、診断書の書式が異なっていても診断書の料金は請求されます。現金は多めに持っていきましょう。キャッシュレス派の私は、何度もコンビニに駆け込んでいます(笑)
④市町村の窓口に相談
市役所窓口に必要書類をまとめて提出します。
⑤控えを受け取り認定を待つ
申請後は控えを受け取ります。指定した医療機関で控えを提示しておけば、認定された後に払い戻しを受けることができます。
⑥無事に認定されたら
認定されたら、「自立支援医療受給者証」と「自己負担上限額管理票」を受け取ります。これらを指定した医療機関に提示しましょう。自立支援医療の適用を受けることができます。
申請から認定までの間については、払い戻しが可能です。自治体によって方法が異なるので、確認しておきましょう。
⑦1年に1回更新手続きを
1年に1回更新手続きが必要になります。
私が通っている病院では、事前に病院側から「そろそろ更新を」と促してくれます。忘れてしまうと制度が利用できなくなってしまうので、必ず更新しましょう。
その他の支援制度を8つ紹介(精神障害向け)

最後に、自立支援医療を利用している方が併せて利用できる可能性のある制度を簡単に紹介します。今回は精神障害のある方向けに解説します。
①障害者手帳
精神障害者用の障害者手帳を「精神障害者保健福祉手帳」といいます。精神障害によって、長期的に日常生活や社会生活に支障が出ている方を対象としています。
障害者手帳を取得するメリットは、大きく分けて以下の2つです。
②障害年金
病気やケガで日常生活や仕事に制限を受けた際に受け取ることができる年金です。現役世代でも要件を満たしていれば受け取ることができます。
「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があり、それぞれ等級によって受け取れる金額が異なります。受給には細かな要件があるので、希望する場合はよく確認しましょう
③傷病手当金
病気やケガで仕事ができなくなった際に利用できるのが、傷病手当金です。
要件を満たした場合、最長1年半の間傷病手当金を受け取ることができます。受け取ることができる金額は、働いていた際の収入によります。
傷病手当金についての記事はこちら!
④失業手当(失業保険)
失業手当は、次の就職先を探す間の経済的負担を減らすために受給できるお金です。
健常者の方でももらえるものですが、病気や障害があると「特定理由離職者」と認定され、受給期間を伸ばしてもらうことができます。
⑤労災保険
パワハラなど業務に原因があって精神疾患を発症してしまった場合、労災と認定され受給できます。こちらも要件が定められているので、確認しましょう。
⑥生活困窮者自立支援制度
経済的に支援を受けられないと最低限度の生活が維持できない可能性のある方に対して、自立に向けた支援を行う制度です。
自立支援医療制度とは目的や対象が異なります。
⑦生活保護制度
生活が困窮している方に対して、生活保護法によって文化的な最低限度の生活を保障するための制度です。
⑧医療費控除
1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えた場合、その額によって所得控除を受けることができます。
確定申告の際に利用できる制度です。
デメリットはあるけど、メリットが大きい制度
自立支援医療制度を利用することで、医療費の自己負担額を抑えられます。
自立支援医療のデメリットとして心配されがちな「会社バレ」や「就職への影響」は、原則として心配する必要はありません。 制度は利用者が不利益を被らないように作られています。
ただし、指定された医療機関でのみ利用可能、治療内容によっては対象外、1年ごとの更新手続き(診断書費用含む)が必要といった注意点もあります。
ご自身が対象疾患や適応範囲に当てはまるかどうかは、必ず主治医に確認するようにしましょう。
自立支援医療を賢く利用して、経済的な心配を減らしながら、安心して治療を続けていきましょうね。
あなたの「安心」を、これからも応援します
今回の記事では、自立支援医療制度の「デメリット」について、私の実体験を交えながら詳しく解説しました。
この制度が、長期的な治療を必要とする方々の金銭的な負担を軽減し、治療に専念できる大きな支えになることをお伝えできたなら幸いです。
そして、この記事を通して、あなたが抱えていた不安が少しでも解消され、安心して制度を利用する一助になれば嬉しいです。
私のブログ「おりをりずむ」では、私自身がうつ病で休職した経験から学んだ、病気と付き合いながら「自分らしく生きるヒント」 を発信しています。
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あなたの明日が、今日よりも少しでも明るくなることを願っています!
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